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田舎人気商店街の謎を紐解く(1)

Photo_2  このネタは、DPZコネタ道場に紹介されました

NIKKEIプラス1調べ「訪ねてみたい商店街ランキング」で巣鴨、横浜、銀座に並んで第4位に輝いた長野県小布施(おぶせ)町。中心都市の有名商店街の名が上位を占める中、なぜ農村地帯のこの街がランキング4位に上がったのか、実際に行って調べてみた。001a

最高のドライブ日和。

■ 小布施町のいろはにほへと

長野県小布施町は長野市から車で30分ほどのところに位置している。Admi20

周りは山に囲まれているが、割と平坦な土地になっており、近くには松川という鉄分(酸性)を含む、魚の住まない川が流れている。この酸性の水が栗の栽培には適しており、小布施町は栗の名産地として有名である。

053b町中に立派な栗がはびこる。

この栗を活かしてまちづくりをしているのが小布施町であり、町内には栗にまつわるグルメやお土産が溢れている。

また、高井鴻山という文化人の元に訪れた葛飾北斎がたびたび残していった、北斎の肉筆画が保存、展示してあること(北斎館)や、町民が自主的に行っているオープンガーデン(自宅の庭のガーデニングを、観光客用に開放している)により、「栗と花と北斎の町、小布施町」と言われている。

とまあ概要はこの程度にして、さっそく商店街をぶらりたい。

■ 景色がヤバイ

まずは全景。 097a

目の前のトラックが邪魔だ。

ここが一番のメインストリート、小布施堂前だ。見ても分かるとおり、小布施に残る古い建物を修繕し、店舗に作り直している。小布施町はそんなお店がたくさんあり、商店街を構成しているのである。060a

ちょっと小道に入ってみると、こんな壁。

もともとは蔵だったところを改造して作った建物もある。土壁にバラ。壁のはがれ具合がなんともいえない。055a

「栗の小道」という名の小道。

商店街の裏道はこんな感じの小道が通っていたりする。地面は木が連なってできており、大きな木はたいてい栗の木だった。イガイガを拾ったが、中身は全て抜き取られていた。みんな考えることは一緒か。119a

その小道を抜けるとまたお土産通り。

他のお土産屋もみんな白壁に黒い瓦。一貫してひとつの景観として馴染んでいる。なんだかホッと落ち着く。

見て分かるとおり、小布施町の商店街は昔ながらの景観を残しつつ発展している。けれども、私たちが一般的にイメージする、「日常品小売店の連なり」としての商店街ではなく、どちらかといえば観光客向けのお土産屋や蕎麦屋、栗菓子屋がほとんどだった。テレビで見るような商店街を思い浮かべていたためか正直物足りなさが残ったが、5日間歩いているとそれはそれでいいものだと思えるようになった。せっかくなので、5日間かけてこの商店街のグルメを食べつくすのを今回のサブ・ミッションにしよう。今決めた。

おいしいもの、食べる!! → 「田舎人気商店街の謎を紐解く(2)」

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田舎人気商店街の謎を紐解く(2)

小布施ってなんだっけ? → 「田舎人気商店街の謎を紐解く(1)」

■ グルメがヤバイ

とりあえず道にある食べ物には全て目をつけ、腹が許す限り味をみることにした。ひょっとしたら隠れたグルメが見つかるかもしれない。

①道端りんご うまさ ★★★☆☆

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道端で売っていたりんご(1コ100円)をまるかじりした。皮が前歯に挟まって気になったが、甘くてみずみずしくてジューシーな食感だった。りんご食べ歩きする時は、芯のことも考えなければならない。

②栗ソフト うまさ ★★★★☆

ソフトに夢中で写真を撮るのをすっかり忘れてしまった。陸でも車酔いするので、個人的にソフトクリームはあまり好きではなかったが、栗ソフトは食べやすくパクパクいけた。1コ300円という価格もお手ごろ。

③栗ジェラート うまさ ★★★☆☆

あまりの寒さ(この日は悪天候だった)に写真を撮るのを忘れた。くりくりつぶつぶしていて、あーあジェラートという感じがした。栗ソフトのジェラート版というところか。

④朱雀 うまさ ★★★★★

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コイツはスゴイ。まず、盛りそばのよう。かと思えば、栗をひたすら口いっぱいに食べている感じ。作られた栗の味はしない。朱雀を相手にごまかしはきかない。フェニックス!!(中に栗あんが入っているよ)

⑤栗おこわ うまさ ★★★★★

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あえて一言、言うとすれば

「栗ゴハンだいすき!!!」


⑥栗あんみつ うまさ ★★★★☆

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あんはもちろん栗あん、「みつ」も「栗みつ」というこだわりよう。甘かった。新潟にいる祖母がおかずで出してくれるあんころ餅な感じか。完璧に内輪ネタ。

④の朱雀は本当においしくて、最終日にもう一個食べてしまった。実はこの朱雀、期間限定、地域限定、午前中のみの注文で、ヘタすると2時間待ちはざらじゃないそうだ。また、その日の栗が「朱雀向け」でなければ、どんなにたくさん予約が入っていたとしても全てお断りするとか。プロ根性ってやつだ。 066a

なんとか万博のモ○ゾーみたい。

■ おいしい食べ物と、ステキな景色と
実際に商店街をぶらってみて、なぜ4位に食い込めるのか、少しだけ理解できた気がする。すばらしい景観、おいしい食べ物、古くからの文化を慕ってやって来る人々がいる。それゆえに、町の人々も自分の町に対して誇りを持ち、町並みをそろえるような活動をはじめる(=オープンガーデン)。開かれた心が、多くの人を呼び寄せる元になっているのかもしれない。
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桜井甘精堂オープンガーデンにて。
シビアな問題に取り組む → 「田舎人気商店街の謎を紐解く(番外編)」

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田舎人気商店街の謎を紐解く(番外編)

小布施って、どこだっけ? → 「田舎人気商店街の謎を紐解く(1)」 グルメが知りたい! → 「田舎人気商店街の謎を紐解く(2)」

■ 辛いこともあります

というわけで、前2ページにわたって小布施町の良いところばかりを取り上げてきたが、地方に進出する大型店舗に押されて残念な結果になってしまった商店もある。016a

よく見ると、爪の落書きだらけ。悲しくなってくる。

小布施堂の通りを抜け、更に桜井甘精堂を横目に進んでいくと、どこの街にもあるような建物がちらほら見えてくる。「旧商店街」と呼ばれる界隈である。シャッターを下ろし、すっかり寂れてしまった店もあった。番外編では少しシビアに、小布施町の空き店舗対策について語りたいと思う。やわらかくね。

■ なぜ、店を辞めるのか

これは多分、全国共通の理由だろう。シャッターをおろす理由として挙げられる一番の理由が、後継者問題である。砕いて砕いて言うと・・・

高齢になる→「そろそろやめようかしら」→後継者の息子(娘)は企業で働いている→商店だけでは生活費の足しにしか出来ない=退職は無理→シャッターを下ろす

・・・というわけだ。農業だけでなく商店街でも後継者問題が出てくるなんて。道端で頑張ってるおばあちゃんもいるのに。A

趣味の工芸品を売っていた。B

キューピーに注目。

「楽しそうだったからキューピーに糸をまいてみたのよ」とおばあさん。「材料費の方が(価格より)高くついちゃったのよ。」とおばあさん。「1コ100円ですけどいかがですか?」とおばあさん。あそこまで攻められて1つも買わなかった私はひどくけちん坊だと思う。何をケチって買わなかったのか、未だによく分からないが、きっと私のように「もっと安い店で」とケチって商店で買わない住民も山ほどいることだろう。

■ 空き店舗をどうするか

空き店舗はさびしい。商店街で賑わっている中、シャッターが閉まったままの店を発見すると、ほうっておけない気持ちになる。学級委員選挙でとった1票が自分のものだったときの感覚に似ている。あの時は心が折れる気持ちだった。この商店は今後どうなってしまうのか、どうしていきたいのかなど、商工会と役場で話を伺ってみた。するとそれぞれ次のような答えが返ってきた。

商工会

  • 空き店舗の貸し出しを斡旋している。
  • 家と店舗が一緒になっている商店が多いので、改築工事にお金がかかる。
  • 役場から年間150万円くらいの予算が下りるかもしれない。
  • できればシャッターをあげてもらい、以前のような商店街を運営したい。

役場(産業振興課)

  • できれば個性的な店舗展開をしたい。(手作り靴屋、手作り傘屋など)
  • 旧商店街に人が行かないのは、観光客志向の店ではないから。
  • 町民はもっぱら外で買い物をする。観光客に頼るしかない。

こうして比較すると、商工会は以前のような町民生活向けの、いわゆる一般的な商店街の再生を目標とし、役場はメインストリートのような、観光客志向のお土産屋を兼ねた商店街作りを目標としていることが分かる。方向性の違いから、今後どのような商店街になっていくのかがやや不安ではあるが、そこに大きく介在するのが費用の問題である。094a

分かれ道。

小布施町の商店は奥に細長く出来ている。水周りやプライバシーを守るため自宅との分離などの改築工事を行えば、150万円から200万円はかかるという。その費用を誰が負担するのかで今もめているらしい。役場から支給される予算が150万円(しかもまだ確定ではない)として、1年に1店舗復旧できるかどうか・・・というところである。しかも、シャッター街をなくすためには少なくともその店舗が復活後、自立して経営を成り立たせていかなくてはならない。難しい問題だ。

また、町役場としては「町外の人にあまり補助金を使いたくない」ということもあり、町内もしくは県内の人の中から経営者を探すとなると、それもまた難しいと言っていた。これから先、小さい町だからできないことを、小さい町だからこそできることによって補っていくことがたいせつなのではないだろうか。

■ 訪れてよかった

難しいことも色々考えたが、最終的にいえること、それは「小布施に来てよかった」ということだ。小布施に来て、知らないおばちゃんに 巨峰を2房もらった。小布施に来て、ワインになる前のぶどうジュースをもらった。小布施に来て、知らない人たちと友達になった。小布施堂(全国展開をしている、小布施まちづくりの中心となる栗菓子屋さん。朱雀の生みの親)の社長とも話した。いろいろな人に出会って、そのたびに小布施の良いところを見せつけられた。ツアー客が多い小布施町だったが、長く滞在すればするだけ、そのよさが心に染み渡った。来てよかった、小布施。「また訪れたい商店街ランキング」があったら、確実に1位に小布施町を選ぼうと思う。037a

高井鴻山記念館にて。

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