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「八ッ場ダムカレー」を食べてダムカレー考案者に会う(1)

「これはカレーではありません。ダムです。」
これ以上に、一瞬ぎょっとする文章を見たことがあるだろうか?

東京都墨田区にある三州屋。
一見普通の和食レストランだが、こちらでは裏メニューとして
「ダムカレー」が提供されているのだという。
ダム好きとしては見逃せないこの一品。
しかも現在建設が延期されている、問題の「八ツ場ダムカレー」もメニューにあるとのこと。

ならばその「ダムカレー」、この目で確かめてみたい!
そしてあわよくば、考案者にも会えたらいいなという淡い期待のもと、
スカイツリーを目印に三州家へと向かった。

P2052934錦糸町は初上陸だ。


■錦糸町駅から歩いて20分くらい

三州家へは、錦糸町駅から徒歩20分ほど。
電車を降りてすぐ、どちら側の改札を降りたらいいのか迷うが、
「スカイツリーの方向」だと覚えていただきたい。

P2052945 スカイツリーを目印に歩けば(多分)迷わない。

レトロな町並み、路地の向こうからスカイツリーがよく見える。
昼時は混むという情報をあらかじめいただいたため、
時間をずらして4時半ごろに向かった。
そのためか少しあたりも暗くなりはじめ、帰り道を急ぐ人が多いように感じた。

■三州家に到着!店内へ。

スカイツリーの写真を撮りながら歩いていたら、ずいぶんかかった。

三州家は三つ目通りと春日通りという、大きい通りの角から少しだけ入ったところ、三つ目通りの通り沿いに位置する。とても目立つわかりやすい場所にある。

大きな地図で見る

P2052960 そろそろかな。この辺だと思うんだけど。

P2052964 はっ!見覚えのある入口・・・

P2052966 でたぁーーー!三州屋っっ!!

というわけで、胸がずっと高鳴りっぱなしですが、さっそく店内へはいってみよう。


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「八ッ場ダムカレー」を食べてダムカレー考案者に会う(2)

←「八ッ場ダムカレー」を食べてダムカレー考案者に会う(1)

■やはりメニューにはない。
入り口にメニューがあったが、どこにも「ダムカレー」らしきものは見当たらない。「ダムカレー」は裏メニューだと聞いていたが、ダイナミックなあの「ダム」がここまで姿を潜めるとは・・・

P2052968 カツカレーはあるんだけどねぇ・・・

P2052967 ダム、ないねぇ・・・

中へ入るとさっそくお店のおばちゃんがやってきた。

おばちゃん「いらっしゃい。おひとりですか?」

私「はい、一名です」
おばちゃん「窓際と、内側、お好きなところにどうぞ」

迷うことなく窓際を選んだ私。
ここの席からだと店内がよく見渡せる。

P2052982 きれいな店内。女性客2名の笑い声が聞こえる。

おしぼりとお水を持ってきたおばちゃんがメニューを持ってきた。
しばらくメニューを眺めていたが、やはり「ダムカレー」はどこにも見当たらない。

P2052970 おいしそうなメニューに一瞬心が揺らぐ。

するとおもむろにおばちゃんが声をかけてきた。

おばちゃん「もしかして、ダムカレー?そうじゃないかと思ってたのよ。」

ここに来て急展開。「ダムカレーメニューをください」と言おうと思ったその矢先、おばちゃんのほうからメニューを持ってきてくれたのだ。

P2052972 アース式、アーチ式、重力式、ロックフィル。4種類のダムカレー。

P2052976 私がこの記事の冒頭で紹介した例の一文が目を引く。

P2052975 今回の目的、「八ッ場ダムカレー」260円。

八ッ場ダムカレー

工期限定のスペシャルカレーです。吾妻川の自然景観をお楽しみください。

現状に忠実に造られておりますので、騙されることのないよう、お願いします。

私は今回、これを目的にやってきた。「騙されることのないよう」いや、「騙されに来た」それだけである。何の血迷いもなくおばちゃんにこう宣言した。

P2052990

私「八ッ場ダムカレー!!・・・・・・と、アーチ式ダムカレーをください。」

おばちゃん「・・・八ッ場ダムカレー、やってみる?」

そう言い残したおばちゃんは、ちょっと待ってね、と言いながら厨房へと戻っていった。

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「八ッ場ダムカレー」を食べてダムカレー考案者に会う(3)

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■「八ッ場ダム」とは?

では、「八ッ場ダムカレー」をご覧ください!と言いたいところだが、「八ッ場ダム」をご存じない方にも理解していただけるよう、少しだけ「八ッ場ダム」についてご紹介したい。

八ッ場ダムは、カスリーン台風級の、大水害から周辺地域を守るため、さらには首都圏の水需要にこたえ、「首都圏最後の水瓶」となるべく1994年に建設が始まったダムである。
ところが、ダムの建設が進むと川原湯温泉街や340世帯が水没してしまうため、移転をしなければならない。さらには天然記念物の吾妻峡の中間部にダムが建設されてしまうことから、観光資源の喪失などが懸念され、反対運動も起こっている。
群馬県にある吾妻川をせきとめてつくろうという計画が持ち上がり、早62年。未だ建設途中のダム、それが八ッ場ダムである。

※現在はダム本体工事は行われていないものの、道路や橋脚などのダム関連工事は継続されているようです。


■いよいよ「八ッ場ダムカレー」登場!

本体工事が行われていないダムのカレー。

一体どのようにダムを表現しているのか、さっそくご覧いただきたい。

P2052985_4   でーーーーーーーーん!!!! 八ッ場ダムカレー 260円!!!

どんぶりに赤い福神漬けの川(=吾妻川)が流れているというシンプルな出で立ち!

P2052986

くっきりとVの字を作る様子は本物の吾妻川さながら。

Gosaigawa 地図と見比べてみるとよくわかりますね。

ブラック×レッドというかっこいい色組み合わせ!

そして吾妻川を彷彿させるこの曲線!Vの字!

一緒についてくるワカメのお味噌汁から立ち上るいい香りと温かい湯気!

P2052988_2 反対サイドから撮っても美しいVの字。

P2053019 八ッ場ダムカレー?吾妻川を容赦なく食べる私。

もはやカレーではない!ダムでもない!八ッ場ダムカレーは福神漬けだ!(そのまま)

おばちゃんの一言

おばちゃん「・・・八ッ場ダムカレー、やってみる?」

が今になって胸に沁み、そして笑えてきた。もはやダムでもカレーでもないダムカレーがここ、墨田区にはある。

 

■もちろんアーチ式ダムカレーもいただいた。

「八ッ場ダムカレー」=メイン

「アーチ式ダムカレー」=サブ

といいつつも、やはりダムカレーはテンションが上がる。
というか、さっきまで食べていたのはダムカレーじゃないし!
川福神漬けだし!でもなぜか心が小躍りしているのはどうしてだろう。

P2052992

お・・・!

P2053007_2 おおおっ・・・!!

P2053008 おおおおおおおっ・・・・・!!!

ダムダムダムダムダム!!!!

おばちゃんが持ってきてくれたダム!!!!!

おばちゃんありがとうダム!!!!!!

私がサブで頼んだはずのダムカレーが目の前にやってきた瞬間、森の小道を迷いながら進んで行って、突然現れたあの小渋ダムの姿が脳裏をよぎった。

Dscf6927 アーチが美しい小渋ダム。

ホントだ!カレーじゃない!ダムだこれ!さらにおばちゃんはハイテンションになっている私に嬉しいひと言を放った。

おばちゃん「せっかくだから、(ダムカレーの考案者に)会ってみる?」

私「・・・・(おばちゃんーーーー!あんた神だよ!!!)!!!!!」

というわけで、ダムカレーを完食し、考案者を待つ。

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「八ッ場ダムカレー」を食べてダムカレー考案者に会う(4)

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■ダムカレー考案者、宮島さん登場

まったくの初対面なのでとてもドキドキする。
ダムカレーの考案者はどのような人物だろうか。
そわそわしていると、店の奥から人の良さそうな男性が現れた。

(※話に夢中で写真を撮りそびれたので、ダムカレーのサービスショットでお楽しみください)

宮島さん「こんにちは、わざわざお越しいただきありがとうございます。」
私「はじめまして!突然お忙しいところ、すみません。」

宮島さん「いろいろダムに行かれているんですね。ブログ拝見しました。」

あらかじめ、宮島さんのtwitter宛に「ブログにダムカレーを掲載してもいいですか?」とURLをお送りしていたため、私が長野県の小渋ダムや美和ダムに行ったのもご存じだったようだ。
宮島さんは「ダムマニア」というサイトの運営をしている、根っからのダム好き。まさに「ダムマニア」である。そんなダムマニアの宮島さんにダムカレーについていろいろ聞いてみた。

P2053010 俯瞰からのショット。洪水吐きも福神漬けで再現。 


私「それにしても意外でした。和食屋さんでダムカレーだなんて。」

宮島さん「もともとは自分のまかない用に始めたことだったんですよ。」
私「ええ!そうだったんですか?!」
宮島さん「それがあるとき話題になりまして。それで裏メニュー化されてるわけです。」
私「なるほど。ということは、できれば自分だけの秘密にしたかったんですかね?」
宮島さん「だってあれ、1基施工するのに5分もかかるんですよ(笑)。」
私「ええっ?!そんなに?!」
と言いつつも内心は「あれほどしっかりと施工しているのに、5分しかかかっていないのか!」と熟練の技に驚く私。

P2052996 美しいアーチの手前から。本物のダムなら空撮しないと不可能なショット。

宮島さん「しかもダムカレーは私にしか施工できないので、7人で来られるとどうしても35分かかってしまう。」
私「それは大変ですね・・・」

宮島さん「でも、ダムカレーを出すからにはきちんとしたものを作りたいんです。ダムを知っている人が来るときは特に、壁を薄く施工したいって思うんです。」
私「確かに、今日私がいただいたアーチ式もすごく薄い壁でした。」

P2053005 均等かつしっかりと、薄く造られた堤体。

宮島さん「そうでしょう。小渋ダムに行かれたようだったので。小渋ダムは本当に壁が薄いですからね。あの壁で水を支えているかと思うと・・・」
私「頑張ってますよね、ダム。」
宮島さん「そうですね。他の店でもダムカレーあるの、ご存じですか?」
私「はい。まだ行ったことはありませんが、黒部にもダムカレーあるそうですね。」
宮島さん「他のダムカレーは堤防みたいな感じなんです。やっぱりダムはちゃんと『せき止め』られていないと。」
私「ダムがきちんとカレーをせき止める、役目を果たしてないと『ダムカレー』とは言えないってことですね。」

P2052998 ダム湖から堤体を眺める。貯水量が多い。


私「ところで、八ッ場ダムカレーなんですが。」

宮島さん「あれは、ほんのジョークみたいなものなんですけどね(笑)知っている人に楽しんでもらいたいという、遊び心で『こんなのもできます』って出しただけなんです。」
私「他に頼まれたお客様はいらっしゃいますか?」
宮島さん「前に、何も知らずに頼んだお客様から怒られたことがあります。『何でこんなの出すんだ!』って。」
私「確かに、知らない人が頼んだらびっくりされるかもしれませんね。」

 

八ッ場ダムカレーから学ぶこと。そしてダムマニアはダムのように懐の深い方でした

 

今回、改めて考えさせられたこと。
それは、八ッ場ダムのように、ただ「ダムがかっこいい」という
だけではダムファンは務まらないということだ。

ダム建設には、周辺地区の自然や、水没地区など、多くの犠牲が伴う。
しかしながら災害時や水源の確保など、私達の生活を支えてくれる、そんな心強い存在でもある。
ダム見学をする際、そういった問題にも目をむけ、学び、感謝していく気持ちを大切にしたい。
そして今回私がいただいた「八ッ場ダムカレー」は、今回この記事を書くにあたって、
改めてダム建設が引き起こす社会問題を考えさせられるいい機会となった。
この日の私のように、「八ッ場ダムカレー」を機に、少しでもダム問題について考え、
感じられるダムファンが増えればと思う。

ダムマニア、ダムカレー考案者、宮島さん。
ダムを語る宮島さんの目は本当にダムへの情熱に充ち溢れていた。

短い時間ではあったが、とても有益で楽しいひと時を過ごすことができた。
初対面にもかかわらず、お仕事中のお忙しい中ご協力いただいた宮島さんに感謝したい。

P2053033

宮島さん、シャッタータイミングが悪くてごめんなさい。

Japanese Restaurant 三州家   東京都墨田区本所4-17-3

TEL 03-3624-7019

         http://www.sansyu-ya.co.jp/rst/ 

ダムマニア  http://dammania.net/       

「八ッ場ダムカレー」を食べてダムカレー考案者に会う(放流編)→

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「八ッ場ダムカレー」を食べてダムカレー考案者に会う(放流編)

←「八ッ場ダムカレー」を食べてダムカレー考案者に会う(4)

ここでは、本編では紹介しきれなかった、
ダムカレーの放流の様子、番外編として実家にあったシチューを使って
自作ダムシチュー、そしてその放流をご紹介したい。

P2053024トレイに乗っかっていた「放流DVD」告知チラシ。持って帰るのを忘れた・・・

■おまけ① ダムカレー放流の様子

ここは見ていただいたほうが早いかと思うので、
あまり説明を付け加えずに、動画を中心にご紹介したい。




P2053015 左サイドから俯瞰ショット。ダムカレー放流中。

P2053017 放流なのか決壊なのか。

■おまけ② 続いて、自作のシチューカレー。

宮島さんへの取材を終え、実家に帰るとシチューが作られていた。

P2053051 お、おいしそう!

カレーを食べた後だったが、なんのためらいもなく食べることに。
宮島さんの影響を受けダムカレーならぬダムシチューをやろうと決定。
「せきとめる」をポイントに、うまくやれば家でもダムメニューを楽しめるのではないか。

P2053045 丼っぽい器を選びます。

P2053047 真剣な面持ちでご飯よそってます。

P2053050 ぐっちゃぁあああぁああ

これが意外と難しい。
水につけたしゃもじでサクサクよそってぺたぺたするものの、
ご飯粒がくっついてぐちゃりとなり、うまくいかない。
お皿の周りにご飯粒の残骸たちがこびりついてしまう。
ここで、ダム職人宮島さんとの圧倒的な技術力の差を思い知る。

やっぱり好きなだけじゃダメなのね。
でも、せっかくだからダムに水(シチュー)を張ってみましょう。


おおっ!ヘボダムが耐えている!耐えて、シチューをせき止めてる!!

だけどなんかいまいち。・・・でもちょっとうれしい。

 

P2053065決壊しはじめてるよ。

というわけで、自作ダムシチューはそんなにもちそうにないので、すぐに放流します。こちらも動画でどうぞ。妹の笑い声がほほえましいです。



■やりきった気がします。

完全に自己満足のダムシチューだったが、
ダムカレーさながらの放流満足を味わうことができた。
職人宮島さんのダムカレー施工技術はすごい!ということもわかったし、
本当に充実した週末を送ることができた。
ご協力いただいた宮島さんには改めて感謝したい。

そしてこの記事を書いているまさにたった今、
誕生日を迎え、25歳になった自分に一言。

「おめでとう。」

P2053030_2 三州家の伝票、「八ツ場」と「アーチ」。1000円出してお釣りがきた。

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